「想い」をかなえる財産の残し方

「自分が死んだら○○に財産をゆずりたい」その「想い」はかなうのか?

たとえば相続人以外に財産を残したい場合は「遺言書」に記しておく必要があります
財産の残し方にご希望がある場合は前もっての準備が必要不可欠になります

ここでは「想い」をかなえる財産の残し方について、いくつかの方法をお話ししたいと思います

「想い」を実現するためには「遺言書」が必要

相続人(相続できる人)は、以前“「相続できる人」と「相続できない人」とは?”という記事で話ました通り、法律で厳格に決まっています

この人に財産を残したいという想いがあったとしても、相続人(相続できる人)でない場合「遺言書」が無ければその思いはかなえられません

たとえば「女性のおひとりさま」の場合、仲の良かった「めい」に相続させたいと考えるケースがしばしばあります

しかし「めい」は相続人(相続できる人)にはなれません

「遺言書」が無ければ、たとえ「遺産分割協議」で相続人全員が「めい」の相続に同意したとしても、相続人(相続できる人)でないめいが相続することはNGなのです

何とかしてあげようと一旦相続人が相続してその財産をめいに渡してしまうと、「めい」本人に多額の贈与税が課されるということもあります

また、「子供の配偶者」「介護施設などのヘルパー」相続人(相続できる人)にはなれません

「お世話になった人に財産を残したい」そういう想いがあれば「遺言書」を作成して財産を渡すこと記しておく必要があります

最近は「子供がいないので社会に恩返ししたい、誰かの役に立つよう使ってほしい」と、「企業」や「団体」への寄付を考える「おひとりさま」も増えているそうです

しかし、「企業」や「団体」相続人(相続できる人)にはなれませんので、想いを実現するためには「遺言書」が必要ということになります

相続人以外に財産を残すと相続税が2割増?!

ただ「遺言書」に記したからと言って手放しに喜べません

相続人ではない第三者に「遺言書」で財産を譲る遺贈の場合には、相続税が2割加算されるというルールがあるからです

税負担を減らしたいということであれば「養子縁組」も有効な手段です
(※ただし注意点があります。以前の記事“「養子縁組」で節税できる?!”をご参考ください)

また「遺言書」を作成していても紛失などのリスクがあるため「同性愛のパートナー」がいる場合、年上の方を養親(養子縁組の親)にして「養子縁組」することで、「遺贈」よりも少ない税負担で相続することができます

「企業」に「遺贈」で寄付する場合、相続税は発生しませんが法人税が発生します

「宗教法人や公益法人」は基本的には法人税など非課税ですが不動産の遺贈などは譲渡所得税が発生することがあります

現金以外の財産の寄付を渡したいところが受け付けてくれるかどうかは、事前にホームページや担当部署などで確認しておく必要があります

また「確実に財産を渡したい」という場合は「生前贈与」という方法があります

贈与税はかかりますが相続財産が減るため相続税を含めた全体で節税できることもあります

まとめ

「遺言書」で「遺贈」「寄付」「生前贈与」ほか、願いをかなえる財産の残し方は存在します

ただし専門的な知識や全体的に法務や税務のバランスを見ながら対策をすることが大切です
何と言ってもご本人やその関係者みなさんが幸せで「円滑円満」な相続になるよう、どうするのが「最善最適」なのか?
自分の財産の行き先に想いがあるのであれば、前もっての入念な準備が必要です

ここまでいかがでしたでしょうか?
ご自身のご家庭で検討の余地があるけど、「どうしたらいいか具体的にはわからない」「すでに、生前贈与や養子縁組をしているけど、このままでよいのか?」「一般論はいいんだ、うちのことについて聞きたい」などご心配があるという方は、一度お問い合わせからご連絡いただければと思います。お問い合わせは→こちら

この記事を書いた人

吉政和彦

吉政和彦

大学卒業後、商社及び外資系金融機関に勤務。
2019年、会社経営者らに「会社や個人にトコトンお金を残す専門家」として、財務・税務・相続等のコンサルティングを行うa-office YOSHIMASAを開設。現在、ニーズの高まりを受け、相続コンサルティングに力を入れている。「相続の通訳」という立ち位置で、相続に強い士業など専門家と連携。相続税、遺産相続、実家の空き家対策など、相続全般に関する悩みや不安の解消をサポートしている。