高齢の不動産オーナーが心配なこと、解決策は?!

Aさん(80歳)は姫路にマンション2棟を持っています
Aさんは自宅で奥様と二人暮らし、長男(52歳)は姫路で勤務し同じ町内に別世帯で暮らしています

Aさんは高齢になってきたこともあって、マンションの管理を負担に感じていて、そろそろ建て替え時期も迫っているのでその検討も必要になっています
マンションの家賃収入はAさん夫妻の老後の生活資金にもなっています

Aさんは、長男にマンション経営を引き継いでもらおうと考え、手伝ってもらうよう話していますが、長男はなかなかその気になってくれません。

しかし、以前一人暮らしの年老いた母が心配!!認知症や家、お金の管理どうする?!でもお伝えしましたように、認知症になってしまうと相続対策ができなくなるのはもちろん、その方所有の実家など不動産があり自分の意思が示せなくなると、「売る」ことも「貸す」ことも「取り壊す」こともできなくなります

老夫婦と子はどんなことが「できると助かる」のか?

では、どんなことができるとAさんの場合、Aさん夫妻も長男も助かるのでしょうか?

①Aさん夫妻にとって、不動産の名義が長男とし経費の支払いから家賃収入の管理まで、長男にやってもらうと楽になる

②長男にとって将来マンションを相続した時と同じ経営を、Aさんが生きている間に聞きながら経験することができれば、いざ相続の時に経営について慌てることが無くなる

③不動産や大半の預金の名義を長男に変えても、贈与税を支払う心配が無ければ、安心して管理を任せることができる

④万一Aさんが認知症になってしまっても、マンションの名義は長男に変えていれば、大規模修繕も建替えも長男の名前でできる
また金融機関からの借入れもできる状態にしておきたい

⑤Aさん夫婦の生活費は長男が管理するマンションからの収入と名義を変えている預金から支払われると、Aさんも安心で長男も振り込み詐欺などの被害の心配がない

⑥マンションの名義変わっても、マンションの確定申告書はAさんの名前で税務署に提出します
いわばAさんは預けているだけで、長男は預かっているだけの状態でマンション関係の帳簿は管理している長男がつけるようにしていればAさんは楽になる

⑦Aさんが亡くなった後、Aさんが受け取っていた家賃をもらう権利や自宅で生活できる権利を、Aさんの奥様が譲り受ければ(相続と同じことです)、不動産や預金は長男名義のままで、Aさんの奥様がAさんが持っていた権利を引き継ぐことができるようにする

「そりゃそんなことができればいいけど…、そんな虫のいい話あるわけないやん」

といううお声がまたまた聞こえてきそうですが、実はできるのです
①~⑦を現実に可能にし、すでに活用されている対策があるのです

それが“一人暮らしの年老いた母が心配!!認知症や家、お金の管理どうする?!”でもお伝えしました「家族信託」です

簡単にいうと上記①~⑦ができるように親と子の間(家族間)で契約(信託契約)をするというものです

Aさんのマンションと自宅不動産の土地建物と預金の大半を家族信託契約で長男の名義に変える。長男が家族信託契約で自分名義となった不動産と預金をAさんに代わって管理する。

このように「家族信託」は、あたかも財産を相続させるように連続して次の家族につなげていくことができます。

その「家族信託」母がなくなったあとはどうなる?

では、母がなくなったらどうなるのでしょうか?

「家族信託」契約によって、長男にとってはAさんに遺言を書いてもらったのと同じ効果がある

「家族信託」を使ってAさんから奥様に受益者が移転しても、普通の相続で発生する名義変更等の相続手続きは必要ないのでコストが削減できる

③Aさんが亡くなって奥様に受益者(Aさんが受けていた利益)が変わった段階で、奥様に相続税がかかることになるが、「配偶者の税額軽減」「小規模宅地の相続税の特例」「家族信託」でも使えるので節税になる

④AさんとAさんの奥様が亡くなり、信託が終了して残余財産が長男に帰属すると、長男に「相続税」が課税されます。この段階でも「家族信託」を使っていても「小規模宅地の特例等」相続税の優遇措置は使えます。

Aさんも、Aさんの奥様も亡くなった後で、家族信託は終了して、信託財産が残っていたら、その財産は長男に相続させる契約とする➡AさんとAさんの奥様の両方の死亡により信託契約は終了し、残余財産は長男に帰属します

そのほか「家族信託」が役立つケース!!

上記では
②「不動産オーナーの事業承継のため」に家族信託を活用をお話ししました

そのほかにもいろいろなケースで「家族信託」の活用が役立っています
「家族信託」をうまく活用することで解決できる問題に幅が格段に増えています

①「実家の管理と親の生活費とうの管理のために家族信託を活用」
③「障がいを持ったお子様の財産管理にため」に家族信託を活用
④「中小企業オーナーの事業承継のため」に家族信託を活用
⑤「共有名義の不動産を効率的に活用するため」に家族信託を活用
⑥「再婚を機に財産管理を明確にするため」に家族信託を活用
⑦「ペットが寿命を全うするため」に家族信託を活用

など…、また他にも

「父も母も財産少なく、成年後見人も考えたが専門家の方に払う費用が毎月の費用が毎月2万円~6万円の報酬が必要で、一度付けたら一生やめられないとのこと、ギリギリの老後の蓄えしかない両親には無理だ」

「親の財産のほとんどが不動産で、放っておくと兄弟の共有名義になり、有効活用も売却もできなくなる」

「代々うちの家計は家督相続の考えで不動産を相続してきたが、長男である自分に子供がいないため兄弟に継がせたい。でも自分の妻の生活は守ってやりたいがどうしたらいいか?」

などなど、こんな問題にもかなり役に立つ対策の一つが「家族信託」です

まとめ

ここまでご覧いただき「家族信託」が様々な相続や認知症、事業承継などの問題解決に役だつ対策であるのはお判りいただけたと思います

ただ改めてもっと詳しくお話しできればと思いますが、やはりメリットがあればデメリットもあります

そのひとつに、かなりの専門的な知識とノウハウや経験を要するため、手がける専門家がまず少なく経験値の高い方は相当絞られます

「家族信託」ができるとうたわれている専門家でもレベルに大きな差があり「家族信託契約をつくる」だけ、それもしっかりと家族やご本人のご希望に沿っていない内容だったり、契約後のサポートはなかったりといろいろです

頼れるところはなかなか少なそうだが、今回記事を読んでいただいてご自身のご家族にとって「家族信託」ぜひ考えたいとうちにはこの方法が必要だ、思われる方も多いと思います

ぜひ早めにご検討されることをおススメいたします

ただ「誰に相談したらいいかわからない」「自分で探すのは難しい」「もっと詳しく知りたい」などございましたら、お気軽にお問い合わせください。少しでも安心出来たりお役に立てることができれば幸いです
お問い合わせは→こちら

ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。

この記事を書いた人

吉政和彦

吉政和彦

大学卒業後、商社及び外資系金融機関に勤務。
2019年、会社経営者らに「会社や個人にトコトンお金を残す専門家」として、財務・税務・相続等のコンサルティングを行うa-office YOSHIMASAを開設。現在、ニーズの高まりを受け、相続コンサルティングに力を入れている。「相続の通訳」という立ち位置で、相続に強い士業など専門家と連携。相続税、遺産相続、実家の空き家対策など、相続全般に関する悩みや不安の解消をサポートしている。