事業承継?!まだ早いよ!!対策の遅れが…

「事業承継対策」が後回しになっていませんか?社長に問いかけました

「今みたいな厳しい時代に、事業承継なんてまだまだ任せられへんわ」
「わしの目の黒いうちは…」
「会社が落ち着いたらな、もっと」
「もうちょっと、借金減らしてからやなぁ」
「まだまだ、死ねへん、死ねへん」

1年後、社長は脳梗塞で亡くなられました。
後継者には、「まだまだ任せられない」と言われていた息子さんが気持ちの準備も後継者としての準備もできてないまま着任しました。
しかし、取引先も従業員もこれまでと同様にはいかず、業績も急下降し、あっという間の1年半で倒産に追い込まれました。その後も従業員への補償や借金返済など、少しずつ改善はしていっていますが、息子さんのみならずご家族も大変な状況です。先代からお付き合いされていた顧問税理士さんは倒産を機に離れられましたが、私は現在もサポートをさせていただいています

今厳しい時代だから、社長の目が黒いうちだから、いつどうやったら落ち着くかわからないから、借金があるから、生きてる間だから、守るべき家族や従業員、取引先があるから、検討しておく必要があった「事業承継対策」ではなかったのかと、私が何もできなったことが悔しく、お役に立てなかった事案でした

「事業承継対策」はなぜ必要か?

日本の全企業数約359万社。その中の約99.7%(平成28年経済センサス活動調査)です
そして中小企業は「①経営者の高齢化」「②後継者の確保難」という大きな問題を抱えています

出典:平成28年経済サンサス-活動調査

しかし
「事業承継なんてまだまだ、目の前のことで手一杯なんやから、そんな先のことまで考えられへんわ」
「元気やし、健康やし、まだ後継者なんて決めなくてええわ」
と、事業承継は今すぐに必要な問題とは考えず、先送りにしている経営者の方は多くみられます

そう考えられるのも、とても理解できます
目の前のことで手一杯、また本当にお元気なわけですから…

しかしその結果、事業承継の対策ができていないために、様々な問題が生じてくるのも事実です

「相続人同士が財産をめぐって、もめてしまい事業用不動産まで処分に。事業承継が失敗する」
「後継者がいない、もしくはいたとしても資質に欠けていたり適正にかけていたり、今後の業績に影響が出るなど取引先から信用を無くす」
「後継者が会社を引き継ぎ、人間性はよくても経営について全く教えられていないため、一気に業績が悪化する」

など、親族間や従業員、取引先などとも紛争が起きたり、業績の悪化で廃業になるケースも出てきています
「事業承継対策」をしているかしていないかで、中小企業にとっては大変大きな問題であり、私の上記でお役に立てなかったご家族のような状況にならないためにも、必要な対策の一つとなります

まとめ

ご本人や、ご家族ご親族が会社経営や個人事業をされている場合、事業承継の時期はいつかは訪れます


ただ、なかなか考えるタイミングや、必要性を考えること自体先送りにしがちなのモノの一つが「事業承継対策」です
そしてこの対策を怠っていると、後々、親族や従業員、取引先に多大な迷惑をかけてしまうのも「事業承継対策」であることもご理解いただけたのではないでしょうか

かといって、そもそも「事業承継対策」ってどんなことをすればいいのか?何を引き継げばいいのか?などもわからないし、一歩を踏み出せない、というお声も聞きします

次回以降では、

「事業承継とは何を継ぐこと?」「事業承継対策の3つのポイント」など考え方などお伝えできればと思います

この記事を書いた人

吉政和彦

吉政和彦

大学卒業後、商社及び外資系金融機関に勤務。
2019年、会社経営者らに「会社や個人にトコトンお金を残す専門家」として、財務・税務・相続等のコンサルティングを行うa-office YOSHIMASAを開設。現在、ニーズの高まりを受け、相続コンサルティングに力を入れている。「相続の通訳」という立ち位置で、相続に強い士業など専門家と連携。相続税、遺産相続、実家の空き家対策など、相続全般に関する悩みや不安の解消をサポートしている。