『遺品整理(相続発生後)』現場から教えられる『生前整理』の大切さ

先日、私が会員である相続トータルサポートグループの勉強会に参加してきました

テーマは、「相続時に発生する『家じまい』」~遺品整理より生前整理~
講師は、株式会社スリーマインドの屋宜明彦さん
遺品整理専業で年間680件の家じまいを受けている業界歴21年のトップランナーです

遺品整理のガイドブック…
失敗しない遺品整理の準備、自分でする場合や業者の選び方、遺品整理の事例やトラブルなどの情報が満載で、一般の方が正しく学ぶための教科書を制作無料で配布されている(一人2部まで)

コロナ禍で、遺品整理業界にも変化があった

「自分でお片付け」
おうち時間を楽しくするため、自分でお片付けがブームになり、各行政ではクリーンセンターがパンクするほどだったとのこと

「マインドの変化があった」
コロナで芸能人(●村どうぶつえんのタレントさんや朝の顔ともいうべき女優●江さん等)の死亡ニュースなどから、あんな人までと、思いもよらないことを目の当たりにしてきた。家族や自分も何が起きるかわからない、もしもに備えて生前整理に取り組む方が増加。マインドの変化があった

「消臭消毒ニーズ増」
普段は専門の業者がいるが、遺品整理業者も薬剤や技術あるので依頼が入り、遺品整理業者も売り上げが上がり、本業以外に注力している業者も増えた。
しかし、屋宜さんは経営判断でその仕事は受けなかったそうです。
要不急の現場で万が一にもスタッフが感染すると、「本当に困っている高齢者のお手伝いができなくなる」からと

「リモート見積り」
ITリテラシーが上がった。ZOOMで面談、リモート見積もりやオンラインセミナーはコロナがなければ手掛けていなかった。
高齢者にLINEの使い方を教えてあげたら、食べてるもの写真に撮り、孫に送りたいとの思いをかなえてあることができた。悪いことばかりではなかった。

「延期・キャンセル増」
県をまたげない時期あり、作業依頼の売り上げ予定だったのに、かたずけて欲しい家は「関西」お住まいは「東京」などで行けない遅延など。35%売り上げ下がる月が2か月続いたとき会社の存続の危機を感じた
 

親子で情報共有していますか?

遺品整理の現場で「困る人」の声をたくさん聴いてこられたと

「困る人」とは
基本的には遺されたお子さん、お孫さん、親しい友人、「おひとりさま」だとサポートする専門家など

かたずけている途中で結構、皆さん手が止まる
「困る人」たちと情報共有をされていないから

・ご自身しか信仰されていない宗教
家族の中で自分だけ入っている場合など、自分に何かあったら○○さんに連絡してなど
自分の親は何宗のどこの寺でどの住職にお世話になってるなどわからない

・趣味のモノ達
価値わかるのは自分だけ。ご夫婦でご主人にとって宝物でも奥さんにはゴミ
親が大事にしていたもの、子供は処分に困る
これはあなたに持っておいてほしい、要らなかったら捨てていいからね
突っ込んで想いを伝えておく

・ペット
故人からすると家族同然、遺されたお子さんは連れて帰れないといううことが多い
自分に何かあったら託す相手を決めておいてほしい
認知症のリスクの場合も考えておかないと、最終的には保健所へ行くことになります

・デジタル遺品(パソコンデータ・携帯)
生前に対策しておくしかない

・必要書類
大事な書類ほどバラバラにおいていてわかない
不安なのか、通帳はココ、印鑑はココ、登記簿はココなど
何かあった時のルールを決めるなどある良い

・財産
故人にとっても、相続人や遺された方々にとっても大事

『命と同様に大切なこと(モノ)は、元気な間に行方を決めておく!』
意思表示をしておく、伝える準備をしておくということが重要、というお話でした

最近よく聞きます「終活の第一歩」は、ここからではないでしょうか?

「遺族が困らないように」という想いはある

遺された遺族が、自分の遺品整理で困ってしまうことのないように、いま元気なうちに荷物の整理をしておく

モノを減らしておいてあげたい気持ちはあるけど、
実際に自分でやろうとしても、限界を感じてそのままになてしまう

また、思い出や感情面で「捨てられない」
物理的な量が、長年積み上げてきたものは思っていた以上のものになっている
自治体によっては分別がとても細かく、今後もっと厳しくなるとか

ただ、ご自身にとっての今後のことを考えても
早めに取り掛かり無駄なものをそぎ落とすことで、よりよく生活をする期間を増やせる

屋宜さんの経験では、生前整理が終わると皆さん笑顔になっていらっしゃるそうです

ぜひ、一人でも多くの方が勇気の一歩を踏み出して、生前整理を行うことで、ご自身とご家族、周りでサポートされている方々が不安なく苦労せず、笑顔で過ごされますことをお祈りいたします

まとめ

長きにわたり遺品整理業に真摯に向き合い、懸命にやってこられた株式会社スリーマインドの屋宜明彦さんだからこそお聞きできた、現場の生の声、たくさんの気付きや笑顔になる方法を感じられ、得られた方は多いのではないかと思います。

『遺品整理(相続発生後)』現場から教えられる『生前整理』の大切さ、『命と同様に大切なこと(モノ)は、元気な間に行方を決めておく!』意思表示をしておく、伝える準備をしておくということが重要というお話でした。

当日はまだまだ他にも、興味深いデータからのお話や、実例から家の規模ごとにどれくらいの遺品があってどれくらいの費用が掛かった、業者選びのコツや、自分の財産目録を作っておくことの意義やコツ、デジタル遺品の準備の仕方や問題点など盛りだくさんで、一度にはお伝えしきれません。
あらためて、ご案内していけたらと思います。

(今回の勉強会の記事の掲載ついて、屋宜さんご本人にもご了解いただいております)

本当に大変すばらしいお人柄で、元気でまっすぐに対応していただける方です
もし一歩踏み出したいけど、遺品整理や生前整理、一人で考えたり動いたりは難しいなと言うときは、ぜひご相談されてみてはいかがでしょうか?


この記事を書いた人

吉政和彦

吉政和彦

大学卒業後、商社及び外資系金融機関に勤務。
2019年、会社経営者らに「会社や個人にトコトンお金を残す専門家」として、財務・税務・相続等のコンサルティングを行うa-office YOSHIMASAを開設。現在、ニーズの高まりを受け、相続コンサルティングに力を入れている。「相続の通訳」という立ち位置で、相続に強い士業など専門家と連携。相続税、遺産相続、実家の空き家対策など、相続全般に関する悩みや不安の解消をサポートしている。